2009年11月18日水曜日

陰と陽



陰と陽





 自然は不思議だ、その存在の大きさ、豊かさ、美しさ、優しさ、そして荒々しさ。
 時に、私たちを優しく抱擁したかと思えば、荒々しい牙をむき出しにして襲い掛かる。

自然は、私たちちっぽけな人間など、思いもよらぬスペクタクルを眼前に展開してくれる。
眼前に広がるのは海、しかし今日の海は少し様相が違っている。

 海は正面にシキホール島、右のネグロス島、左がスミロン島だ。ネグロス島には厚く巨大な雲に覆われている、たぶん大雨だろう。かつて、これほど巨大で、どす黒い雲をネグロスに見たことはない。
 一転、目を正面に向ければそこは、燦燦と日の降り注ぐシキホール島、右の目と左の目で陰と陽を分ける。
あたかも黒魔術師が、この巨大な雲を紡ぎ出し、次第に熟成し、ネグロスに投げつけたのであろうかと思われるほどである?

 しかしみごとに陰と陽にわかれた雲を見るにつけ、太古の民たちが自然を神として敬った理由が理解できる。



 干天に苦しむシキホール島にとっては雨は祈って乞うしか方法はない、一方水害に苦しむネグロスはなすすべもなく雨が止むのを待つばかりだ。
 それぞれの民達は、お互いの島の状況を見ながら、嘆息したに違いない。

 今日の民たちは自然を恐れ敬う気持ちを忘れ、自然を思いのままに動かそうと考えた。
 いずれ、その民の傲慢さは、陰と陽の濃度を増していく自然の前にひれ伏すことになるかもしれない。

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